鶴山裕司 評論集『日本近代文学の言語像Ⅱ 夏目漱石論-現代文学の創出』のレビュー

鶴山裕司 評論集『日本近代文学の言語像Ⅱ 夏目漱石論-現代文学の創出』
「漱石は思想的作家であり、かつ文体の作家なのだ」という考えに基づき、漱石の思想がどのように文体に現れるか分析している点がユニークで面白かったです。特に、日本社会にヨーロッパにおけるキリスト教的規範のような絶対的規範が存在しない故に、上位思想のない平面的な私小説と化したという指摘は興味深かった。その認識に漱石と同時代の他の小説家との違いがあるのかと思いました。
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